Vol.111 エディンバラのファッションショーで出会ったデザイナー:インタビューから学ぶこと
- refwaseda
- May 27
- 5 min read

こんにちは!5期のYuanです🪐
留学先のスコットランド・エディンバラで、ファッションショーコミュニティに関わりながら、さまざまな発見をしてきました!
今回はそのハイライトとして、スコットランドの伝統「キルト」を作品に落とし込みながら、サステナブルな取り組みを続けているデザイナーにインタビューしました。
スコットランドの文化とクリエイティブが融合した魅力的な作品とその裏にあるストーリーをお楽しみください🧜♀️✨
目次
ファッションショーについて
デザイナーインタビュー
ファッションショーについて
学生が運営するエディンバラのファッションショーは「チャリティーファッションショー」として毎年開催されていて、モデルやデザイナーなど関わる人全て有志で参加しており、チケットの売上は、難民支援団体や若者ホームレス支援団体などのコミュニティに寄付されています。

デザイナーインタビュー
ショーで披露された服は各デザイナーの美学や世界観が反映されており、それぞれに魅力がありました。なかでも、エディンバラで開催されたショーだからこそ出会えた、キルト素材を用いたデザインは、私の心に深く残る一着でした。
その背景をより深く知るために、スコットランド出身のデザイナーに、文化の象徴であるキルトをファッションにどう取り入れているのか、お話を伺いました(※インタビューは意訳を含みます)。

—簡単な自己紹介をお願いします。
オーラです。スコットランド・ハイランド地方出身のファッションデザイナーで、エディンバラ大学ではファッションを勉強しています。
"Hello, my name is Órla and I am a sewist and fashion designer from the Highlands of Scotland. I was studying languages but have recently switched to Fashion at the University of Edinburgh."

—なぜそのような服を作るに至ったのか教えてください。
ケルト文化から強く影響を受けました。自分自身がスコットランドのゲール語(人口の約3%しか話していない言語)を話して育ちました。ケルト文化には民話や伝統が多くあり、それを自分のコレクションで紹介したいという思いからこのような服を作りました。
このタータンマントドレスは、スコットランドのケルト神話に出てくる伝説の生き物「セルキー」からアイディアを得ました。「セルキー」は変身能力があり、皮を脱ぎ替えることでアザラシと人間の姿を行き来することができる生き物です。神話によると、セルキーはアザラシとして海に暮らす美しい女性であり、陸に上がる際には自分の皮を持ち歩いてたと言われています。海やアザラシを表現するために、光沢のあるシルバーの生地でアンダードレスを制作しました。また「自分の意思で脱ぐことができる皮」を表現するために、このマントを制作しました。
"For my garments I was very inspired by my Gaelic culture, I grew up speaking Scottish Gaelic, which only about 3% of the population speak. In this culture we have many folktales and traditions, and I wanted to showcase some of these in my collection. The tartan cape and dress look is inspired by a Scottish mythical creature - the Selkie. A 'Selkie' is a shapeshifter, transforming between seal and human form by shedding and replacing their skin. According to the story, they are often very beautiful women who live in the sea as seals, but when they come to land they carry their skin with them. I made the underdress from a shiny dark silver fabric to represent the ocean and seals. I made the cape to represent the skin which the selkie can remove at will."

—キルトはどのようにして仕入れたのですか。
まず大量の端切れタータンを集めました。タータン工場から入手した公式のタータンの端切れをアップサイクルし、それぞれが異なるスコットランドのクラン(氏族)を表しています。タータンを約500枚の鱗状にカットし、黒いコットン生地に列ごとに縫い付けました。肩の部分を力強く見せたかったため、芯地を加えてしっかりとさせました。
"I made the cape by first getting lots of scrap tartan. I upcycled many types of official tartan scraps from a tartan mill, each colour representing a different Scottish Clan (or family). I cut the cartan into around 500 scales and sewed them in rows onto some black cotton. I wanted the shoulders to be very powerful and structured, so I added interfacing to make it sturdy."

—キルトをデザインに使う時に気をつけてることがあれば教えてください。
常に考慮しているのは重量です。重くなりがちなのでしっかりとした構造が必要です!
"A thing to always think about when making quilts or capes like my one is weight. They can become very heavy, so they need a lot of structure!"
—デザインプロセスにおけるサステナビリティの取り組みや工夫について(もしあれば)教えてください。
なるべくサステナブルにするために、100%アップサイクルのタータンを使用し、バイアステープや留め具などもすでに持っていたものを活用しました。新しい生地を購入することは必要以上に大量でなければ問題はないと思っています。サステナビリティとはバランスが大切だと考えています。
"I tried to make this design as sustainable as possible, using 100% upcycled tartan, and trying to use other embellishments such as bias binding and closures which I already own. It is also okay to sometimes buy fabric, though, as long as it is not too much unnecessarily. Sustainability is all about balance!"
—このデザインを通じて伝えたいメッセージは何ですか?
このデザインを通して伝えたいことは、民間伝承や神話は文化を生き続けさせる上で非常に重要な役割を果たし、女性はたくましい存在であるということです。スコットランドには、美しさと神秘的な物語が溢れています!✨
"The message I want to convey through my design is that folklore and stories are incredibly important to keeping culture alive, and that women are powerful and strong beings. Scotland has so much beauty and mythical stories!"

—あなたの活動をチェックできる場所はどこですか?
Instagram: @sewsbyorla
Images of the cape outfit by: @eveadamsonart
おわりに
インタビューを通してデザイナーの意図を知ることで、作品がより一層魅力的に感じられました。また、このように服を通してスコットランドの文化について理解を深めることで、新たな視点を得られたと思います!
読んでくださりありがとうございました💙
写真提供元 (Photos retrieved from):
@ayooluwa_kolawole
@dan__hok
@madebyandrrew
カバー写真提供元 (Cover photos retrieved from):
@eveadamsonart
@madebyandrrew
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