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【Vol.24 もう一度復習したい地球温暖化】


 

こんにちは!ReFの渉外担当を勤めているカーなおみです。


今回は「地球温暖化問題」について紹介する記事を書かせていただくことになりました!私は早稲田大学国際教養学部の2年生です。持続可能性(Sustainability)に興味があり、副専攻としてカーボンニュートラルリーダーを履修しています。現在は環境分野で最先端をゆくスウェーデンに留学をしています。


みなさんも少なからず地球温暖化に関する話題を耳にしたことがあると思います。ただ、もう少し詳しく地球温暖化のメカニズム・因果関係・影響などについて紹介できればと思い、今回の記事を書かせていただくことになりました。できるだけしっかりと説明をしたかったのでデータや図を多めに記載しましたが、どうか概要だけでも目を通していただけると嬉しいです😊



 

地球温暖化問題とは?


「地球温暖化問題」とは具体的にどのような問題か説明できますか?

「地球温暖化問題」とは、温室効果ガス(Greenhouse Gases)の人為的放出によって引き起こされる問題です。これは、各地域の気温や降水量の変化といった、地球規模の気候変動に関する問題で、地表面の地球平均気温の上昇がその気候変動に代表されることから「地球温暖化問題」と呼ばれています。


さて、ここから温暖化のメカニズムや因果関係の説明に入りますが、その前に「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change, IPCC)」を紹介する必要があるでしょう。この政府間パネルは、1988年に設立されました。地球温暖化問題が社会問題化した1980年代、気候変動と人間活動の因果関係に関する科学的知識が足りていなかった背景から、国連がその問題に詳しい科学者を集めて設立したものです。


なぜIPCCについての説明が必要だったかというと、地球温暖化問題に関するほとんどの記事やニュースなどの情報は、IPCCの出版する「科学評価レポート」を引用することが多いからです。IPCCは過去6回にわたって科学評価レポートを発表しており、今回の記事の中では直近の二つ、Fifth Assessment Report (AR5)とSixth Assessment Report (AR6)、にて記述された情報を多く取り入れています。



 

温暖化のメカニズム


それでは、まず、温暖化のメカニズムについて説明していきます。


地球が温暖化する仕組みには、温室効果ガス(Greenhouse Gases)と呼ばれるガスが深く関わっています。温室効果ガスとは、大気中の日射や熱放射エネルギーを吸収する物質のうち、水蒸気(H2O)を除くものです。言い換えると、人間が関わる活動(人為活動)を通じて発生し大気組成を変え、気候に影響を及ぼすと考えられているガスになります。代表的なものとして、二酸化炭素CO2、メタンCH4、一酸化二窒素N2O、オゾン破壊物質の多く、オゾンO3などがあります。




温室効果ガスの蓄積・排出状況


次に、先ほど述べた代表的な温室効果ガスのうち、全体に占める割合の最も高い二酸化炭素 CO2とメタンCH4の蓄積・排出状況を簡単に紹介します。(IPCC 技術要約)


・二酸化炭素 CO2 

二酸化炭素は過去42万年で最高の濃度であるとされています。同時に、直近の10年間の排出量も過去最大です。*1

1750年〜2019年の間での人為放出の大部分は化石燃料燃焼から、残りは森林減少など土地利用変化からだとされています。*2


・メタン CH4

過去80万年の記録をはるかに超える蓄積であるとされています。*3

原因は化石燃料開発、家畜、ゴミ、自然起源などです。



以下の図からもわかるように、温室効果ガスは蓄積量・排出量ともに年々増加しています。また、その増加の大部分が人為的原因によるものであることも同時にわかります。(経済産業省 IPCC AR6 WG3報告書 政策決定者向け要約)



先ほども述べたように、大気中の温室効果ガス濃度が高くなると、熱の吸収が増え、結果的に気温が上昇するのです。




温暖化の事実と因果性

~人為的な温室効果ガス放出が気候変動にどう影響を与えているのか~


では、温暖化の事実と因果性についてもう少し深掘りしてみましょう。(IPCC 技術要約)

(個人的にこのグラフがすごく興味深くて結構お気に入りです笑) 


以下のグラフは、1850年以降の地上の平均気温・海面・海氷・降水量の推移です。

黒い線は観測値(実現値)を示しています。オレンジ色の太線は、自然と人為の両方の影響を考慮したシミュレーション結果を示しており、オレンジ色で囲まれた範囲は95%の信頼区間を示しています。対して、緑色は自然の影響のみを考慮した結果です。よって、オレンジ色と緑色の差が、気候変動における人間による影響といえます。

グラフから、気温と海面の上昇傾向・北極における海氷の減少が確認できます。


また、IPCCのAR6のアセスメントでも、大気・海洋・雪氷圏及び生物圏において広範囲かつ急速な変化が現れていると記述されています。「気候システムの温暖化については疑う余地がない」と明記した上で、1750年頃以降に観測された温室効果ガスの濃度増加が人間の活動によって引き起こされたことにも疑う余地がないと説明されています。



 

国際社会の目標

~パリ協定と1.5℃目標~


地球温暖化問題で最も重要な会議とされているのがパリ協定です。ここでは産業革命以前から比較して、世界の平均気温の上昇を2℃以下に、できる限り1.5℃に抑えるという目標が示されています。



温暖化予測①

~温暖化予測に使用されるSSPシナリオについて~


それでは、今後、温暖化はどのような動きを見せるでしょうか?実は、この質問に一言で「地球はこうなる!」と答えることはできません。それは、私たち人類が今後どのように社会活動を営んでいくかによって未来が大きく左右されるからです。

ただ、温暖化予測において、IPCCは5つのシナリオを使用しています。これらはSSPs(Shared Socio-economic Pathways)シナリオと呼ばれ、さまざまな条件下での気候変動の進行を予測したシナリオです。それらのシナリオをもとにして、「今後、温暖化の影響がどのようなものとなるか」がIPCCレポートに示されています。


5つのシナリオがそれぞれ何を意味するのかについては、JCCCAにより作成された以下の表で確認できます。SSP1-1.9が最も理想的なシナリオ、SSP5-8.5が最も避けたいシナリオです。

(RCPとは、今世紀末までに生じうる温室効果ガスの濃度と、それが事実上意味する温暖化の程度の経路です。)


温暖化予測②

~SSPシナリオ別の気候システムへの影響~


5つのシナリオがあるとのことでしたが、シナリオごとに気候にどのような変化が出ると予測されているのでしょうか?


以下の図は、それぞれのSSPシナリオと、気候システムの4つの主な指標(気温・海洋貯熱量・北極海の夏の海氷・陸域の降水量)における最近・将来の変化を示しています。



図からわかるように、気候システムの変化の度合いは、今後の社会がどのSSPシナリオをたどるかによって大きく左右されます。

しかし、SSPシナリオが5-8.5に近づくほど、世界平均気温・海面水位が大幅に上昇し、夏の北極海の海氷面積が小さくなり、降水量が増えることがグラフから読み取れます。


一方で、シナリオ別で影響が大きく変化すると言っても、数字やグラフだけだとその影響が実際にどのようなものなのかわかりにくいですよね…


そこで、異常気象の頻度についてはどのような予測がされているのかをみてみましょう。以下の図は、10年に1回あるいは50年に1回発生するような異常気象(陸地における極端な高温・陸域における大雨・乾燥化地帯における農業及び生態学的干ばつ)の頻度が温暖化によってどのように変化するか予測されたものになります。



図からわかるように、陸域における極端な高温は、10年イベントで、温度が1℃上昇すると2.8倍、1.5℃で4.1倍、2℃で5.6倍、4℃で9.4倍、発生する可能性が高くなると言われています。

現在国際社会の中で目標とされている1.5℃でもすでに、4.1倍の発生可能性になると予測されているのです!



また、陸域における大雨・乾燥化地帯における農業・生態学的干ばつにおいても、温度が上昇するのと比例して10年イベント・50年イベントの発生する可能性が高くなることがわかります。


 

まとめ


今回は、温暖化のメカニズム・人為活動と温暖化の因果関係・未来予測についてまとめてみました!地球が温暖化する過程には温室効果ガスが深く関わっており、また、私たち人間の社会活動によって排出される温室効果ガスが地球に悪影響を与えていることをデータを用いて説明しました。さらには、気候変動に代表される国際機関、IPCCによりどのような未来予測がされているのかをSSPシナリオ別に述べました。


情報量が多くて読みにくかったかもしれませんが、最後まで読んでくれた方がいましたら本当に嬉しいです🥺

消費者の一人としてどのような消費生活を送るか、どのように地球に優しい選択をできるか、少しでも考えるきっかけになれば幸いです!


 

*1 産業化前1750年頃:280ppm → 2011年:391ppm → 2019年:409.9±3.3 ppm

*2 1750年〜2019年の間で人為放出は700±75PgCとされ、そのうち64±15%は化石燃料燃焼から、残りは森林減少など土地利用変化からだとされています。

*3 1750年〜2019年で1137±10→1866.3ppbv



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